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雪の池辺に白鷺が、白無垢姿の娘と化し、傘をさして現れます。恋に悩む身を振りで見せ、一転して派手な町娘になり、華やかに踊り、更に地獄に堕ちた修羅の責め苦にあい、狂いにくるって凍え死んでいく様を描いています。この演目は、乙女遣いと棒遣いの人形を遣います。
生命を救われた恩返しに白狐が人の姿、葛の葉姫に身をやつし安倍保名の妻となる。童子をもうけるが、ある日、本物の葛の葉姫が訪れた為、白狐は正体を現して去らなければならないことに。いわゆる「子別れ」の悲劇のヒロイン。この作品は、子別れの後、葛の葉が森へ帰って行く姿を表現します。(童子は成人して陰陽師 安倍晴明になる)広く大和地方に伝わっていた異類婚姻譚の民話を背景とした物語です。
大工、弥吉は15歳の頃より故郷、大和郡山を離れ、江戸で大工の修行を重ねる。25歳になったある日、やっと溜めた50両を持って故郷へ帰る途中、江戸の土産話にしたいと初めて立ち寄った吉原で玉菊花魁と出会い、恋に落ちる。弥吉は"末は夫婦になる"と固い約束をし、故郷へ帰る。弥吉の母は玉菊を嫁に貰うことに反対し、弥吉は死んだという偽の手紙を玉菊に送る。驚いた玉菊は郡山を訪れ、偽のお墓の前で自害してしまう。
与ひょうに助けられた鶴の化身のつうは与ひょうの女房となり子供ももうけた。つうは与ひょうのためにかくれて自身の羽を抜いて布を織る。だが与ひょうはそれをお金に換えて金儲けのことばかり考えるようになる。ある日与ひょうは布を織る鶴の姿を見てしまう。その夜、つうは最後の布を織り上げ雪の中死んでいくのでした。
翅蝶三郎(つばちょうざぶろう)という武士が零落して男芸者蘭蝶となり、お宮という女房があるにもかかわらず、遊女の此糸(このいと)に馴染み稼業を顧みないので、女房のお宮は密かに此糸のもとを訪れ、縁を切ってくれと頼み込む。此糸は情けと義理でやむなく蘭蝶と縁を切ることを約し、そのあとで蘭蝶と心中しようと約束する物語です。
天明四年(1784年)11月、中村座顔見世狂言「大商蛭小島」の二番目。伊藤祐親の息女辰姫が、源頼朝への恋を北条の娘政子に譲って、二人を二階に上げたあと、我が髪を梳きながら、切ない嫉妬の念に燃え、狂おしくなるという場面に使われた長唄のめりやす。雪の降る夜、つもる思いを胸に抱いて寂しく寝ていると、聞こえてくる鐘の音が身にしみ、女の命と言われる緑の黒髪がいつしか白雪が積もるように白髪になってしまう、という世の無常感が含まれています。
愛を誓った旅の僧(安珍)に裏切られた女(清姫)が、憤怒の果てに蛇身に変じ男の後を追って道成寺へ。女人禁制の寺に逃げ込み、鐘の中に隠れた男を鐘ごと瞋恚の炎で焼き尽くした紀州の道成寺説話の中から、安珍を追って日高川の渡し場まで来た清姫が川に飛び込むまでを演じます。
安永元年(1772年)12月初演。大阪上塩町の酒屋茜屋の息子・半七は、女芸人・三勝との間に娘お通までもうけ、女房・お園を顧みず、父や舅を泣かすが、人をあやめ、三勝との心中を決心するという実話に基づいて脚色された世話物。全三巻。夫を案ずるお園、親同士の義理と情、半七と三勝の死出の旅への経緯を描く下巻「酒屋(お園)」(約15分)のみが上演されることが多い演目です。
万歳は、年の始めに家々を訪れて祝言を述べ、歌や踊りを演じてご祝儀を貰って歩く人達のこと。歴史は古く、万歳楽と呼ばれていたが、江戸時代に万歳という呼び名が一般的になりました。